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冬は飲酒の機会が増えるとき ~上手なお酒の付き合い方の基礎知識~


 冬はクリスマスや忘年会、新年会など、飲酒の機会が増える季節です。お酒には適正飲酒という考え方があり、それを守ることで健康を維持し、楽しい時間を過ごすことができます。本コラムでは、飲酒の危険性と依存性、正しい飲酒のチェックの仕方、そして上手なお酒との付き合い方について詳しく解説します。

目次

  1. 飲酒の危険性と依存性
  2. 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
  3. 正しい飲酒のチェックの仕方
  4. 手なお酒との付き合い方
  5. まとめ

1.飲酒の危険性と依存性

 飲酒は適量であればリラックス効果や社交の場を盛り上げる効果がありますが、過度な飲酒は健康に重大な影響を及ぼします。厚生労働省1)によると、長期的な過剰飲酒は肝臓疾患、心血管疾患、がんなどのリスクを高めます。また、アルコール依存症になると、日常生活に支障をきたし、精神的な健康も損なわれます。依存症は治療が必要な病気であり、早期の対策が重要です。
個々人が疾患などの発症リスクにも着目し、健康に配慮することが重要です。飲酒による疾患への影響については個人差がありますが、研究結果に基づく疾病毎の発症リスクが上がる飲酒量(純アルコール量)を参考にすることができます。

2.健康に配慮した飲酒に関するガイドライン2)

 厚生労働省では、アルコール健康障害対策基本法に基づき、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を図るため、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を作成しました。本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために活用されることを目的としています。とても読みやすく記載されていますので、お時間のある時にご一読されるととても参考になります。

3.正しい飲酒のチェックの仕方

 お酒をいろいろな理由をつけて、だらだらと飲んでいませんか?以下のポイントを参考に一度見直してみてください。
純アルコール量を計算する:例えば、ビール500ml(5%)の場合、純アルコール量は20gです(500ml × 0.05 × 0.8)。
健康に配慮した飲酒を心がけるためには、純アルコール量に着目することが重要です。
健康日本21では、「節度ある適度な飲酒」を1日平均純アルコールで約20g程度としています。
※ここまで飲んでいいということではありません。

飲酒量の記録:アプリなどを活用し、一週間の飲酒量を記録してみる。
飲酒の頻度:週に何回飲むかを確認し、連続して飲まない日を設ける。
飲酒の理由:ストレス解消や気分転換のために飲むことが多い場合、
      他の方法を見つけることを検討する。

また、飲酒チェックツール「SNAPPY PANDA」を活用することで、自分の飲酒習慣を客観的に評価し、適切な飲酒量を維持するための目標設定が可能です。

4.上手なお酒との付き合い方

お酒を楽しむためには、適切な付き合い方を身につけることが重要です。

あらかじめ量を決めて飲酒をする
自ら飲む量を定めることで、過度な飲酒を避けるなど飲酒行動の改善につながると言われています。行事・イベントなどの場で飲酒する場合も、各自が何をどれくらい飲むかなど自分で決めて飲むことが大切です。

飲酒前又は飲酒中に食事をとる
血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果があります。

飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲む
アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにします。

一週間のうち、飲酒をしない日を設ける
毎日飲み続けるといった継続しての飲酒を避けるようにします。

5.まとめ

 飲酒の危険性と依存性を理解し、自分の飲酒習慣をチェックしながら、上手にお酒と付き合っていきましょう。もしも、お酒との付き合い方に不安や気付きがありましたら、産業保健スタッフや専門外来に相談してみてください。クリスマスや忘年会、新年会などのイベントを楽しむ際も、適量を守り、健康に気を付けることを忘れずに。

出典

 1)E-ヘルスネット 飲酒

 2)健康に配慮した飲酒に関するガイドライン

参考

令和6年度におけるアルコール関連問題啓発週間(11月10日~16日)

(文/大内 麻友美)
さんぎょうい株式会社/ソリューション事業部 (看護師/保健師・キャリアコンサルタント・第一種衛生管理者・産業カウンセラー他)
北海道の地域基幹病院に看護師として従事した後、子育てをしながら健診機関やクリニックにて予防医学に関わる。
その後、働く人の健康管理に携わるため保健師として産業保健業務に従事する。
現職では、さまざまな規模の企業に対して、個別支援を中心としたかかわりから、広く集団に向けて健康情報の発信や、喫煙対策プログラム構築、導入支援など産業保健サービスに携わる。
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