産業医はどこにいる?相談先の探し方と紹介会社選びのポイント
産業医の選任が必要になったものの、「産業医がどこにいるのか知らない」「選び方や探し方が分からない」「産業医を選ぶときの注意点はあるのか」と疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
産業医は医師会や地域産業保健センターなどに所属しており、それらの機関に相談することで産業医の紹介や派遣を受けられます。また、産業医の紹介サービスを使ってマッチングを試みるのも方法の一つです。自社が求める産業医の働き方や依頼したい業務を明確にし、ニーズに適した産業医を見つけることが大切です。
本記事では、産業医がどこにいるのか、どのような機関に相談すれば良いかを解説します。それぞれのメリット・デメリットを理解し、まずは自社に合った探し方を知りましょう。また、産業医紹介サービスを利用する方法もあるので、選び方のポイントを解説します。
目次
1.産業医はどこにいる?紹介・派遣を依頼できる相談先は3つ
産業医は、医師会をはじめとした専門機関に所属していることが一般的です。産業医を選任したい企業は、そのような機関に紹介や派遣を依頼すると良いでしょう。
産業医を紹介・派遣してもらいたい場合の相談先は、主に以下の3つが挙げられます。
- 医師会
- 健診機関
- 産業医紹介サービス
それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
医師会
産業医がどこにいるのか分からない場合、まずは地元の医師会に相談してみると良いでしょう。医師会に所属している地域の産業医を紹介・推薦してくれる場合があります。
しかし、産業医を紹介してくれるかどうかは医師会によって異なります。まずは事業場のある地域の医師会ホームページをチェックし、確認してみましょう。
【メリット】
医師会に相談するメリットとして、紹介手数料がかからないことが挙げられます。事業場がある地域の産業医であれば、距離的な近さがメリットとして挙げられます。
【デメリット】
医師会に産業医を紹介してもらう場合、選任に関わる契約を自分たちで行わなければなりません。そのため、契約成立までの交渉に時間がかかる可能性があります。
また、事業場が複数ある場合、それぞれの地域で産業医を選任しなければならず、労力を要する点もデメリットだといえるでしょう。
健診機関
産業医がどこにいるのか分からない場合、健康診断を実施している医療機関や健診機関に相談するのも1つの方法です。
医療機関や健診機関には、産業医や保健師などの産業保健スタッフが所属しています。そのため、産業医を紹介してもらえるケースもあります。
【メリット】
健診機関に相談するメリットは、産業医の選任だけでなく、健康診断の実施も併せて依頼できる点です。すでに健康診断を依頼している場合、産業医の意見聴取、就業判定などをスムーズに行えるでしょう。
【デメリット】
健診機関に所属する産業医は限られているため、選択肢の少なさがデメリットだといえます。
産業医の業務は職場巡回や面接指導、健康診断など多岐にわたります。とくに健康診断の繁忙期などは産業医の手が回らず、対応が遅くなるリスクがあるため注意が必要です。
産業医紹介会社
産業医がどこにいるか分からず、地域の医師会や健診機関などでも見つからない場合、産業医紹介会社を活用するのも有効です。
登録する多くの産業医の中から、自社の特徴やニーズにマッチする人材を紹介してもらえるでしょう。また、全国に複数の事業場がある企業でも、まとめて産業医を紹介してもらえる場合があります。
【メリット】
産業医紹介会社に相談するメリットは、契約に関して産業医と直接やりとりする必要がなく、紹介会社が雇用条件の交渉などを担ってくれる点にあります。
選任後のサポートがある場合、契約に関する交渉だけでなく、選任後の産業医との様々な調整や万が一トラブルが発生した場合も安心して任せられます。
労働基準監督署への届け出や、働き方改革などにまつわる労務課題などに対応してもらえるケースもあるため、担当者の負担軽減につながるでしょう。
【デメリット】
産業医紹介会社のデメリットとして、仲介料や紹介料、サービス料などの手数料がかかることが挙げられます。
産業医紹介会社に登録している産業医は都市に集中しています。そのため、地方の企業が紹介会社を利用するのは難しいケースがあるかもしれません。
2.事前に知っておきたい産業医の勤務形態
産業医を探すにあたって、事前に産業医の勤務形態について理解しておきましょう。
産業医には「専属産業医」と「嘱託産業医」の2種類があり、それぞれ選任の条件や勤務形態が異なります。
産業医の 種類 | 勤務 形態 | 選任条件 |
専属産業医 | 常勤 | 常時1,000人以上の労働者の事業場で選任の義務あり ※有害業務の場合:常時500人以上の事業場で選任義務あり |
嘱託産業医 | 非常勤 | 常時50〜999人の労働者を使用する事業場で選任の義務あり |
また、産業医を選任する際、以下の2つの契約形態があります。
- 直接雇用契約
- 業務委託契約
専属産業医(常勤)では、企業で働く従業員と同じように、企業と産業医が直接契約を結ぶことが一般的です。
産業医紹介サービスでは、企業と産業医が直接雇用契約を結ぶケースもありますが、嘱託産業医(非常勤)として選任される場合が多く、その場合は業務委託契約を交わすことになります。
産業医の紹介を依頼する機関やサービスによって、契約できる勤務形態は異なるケースがあるため、注意が必要です。
3.産業医紹介会社を選ぶときのポイント
産業医紹介会社を選ぶときのポイントは、以下の5つです。
- 自社のニーズを理解してもらえるか
- 実績は豊富か
- 紹介の対応エリアか
- 料金とサービスが見合っているか
- サポート体制は万全か
それぞれ解説します。
自社のニーズを理解してもらえるか
まずは自社の特徴や課題にはどのようなものがあるのか明確にし、ニーズを明確にしましょう。
もし、産業保健の経験が浅い担当者である場合、自社の課題整理や課題解決の優先順位など、具体的な相談や提案もしてくれるサービス会社を選ぶようにしましょう。
実績は豊富か
産業医紹介会社を選ぶ際、豊富な実績を持つかどうかは重要な指標となります。
実績が豊富な会社なら、自社のニーズを理解し、最適な産業医を紹介してくれる可能性が高く、安心感があります。ホームページなどで取引企業や事例などを確認してみましょう。
紹介の対応エリアか
産業医は都市部に多く、地方には少ない傾向にあります。産業医紹介会社の対応エリアが自社のある地域に対応しているかどうか、事前に確認することが大切です。
料金とサービスが見合っているか
産業医紹介会社の料金には、仲介手数料をはじめとする産業医への支払い以外の料金も含まれます。そのため単純な料金の比較だけではなく、自社が求める内容と合致しているかを良く見極める必要があります。まずは複数の会社に見積もりを依頼してみると良いでしょう。
サポート体制は万全か
産業医紹介会社を活用し、産業医を選任したあとのサポート体制の有無や内容も重要です。必要に応じて、産業医との業務調整や各種書類作成などの事務業務、運営サポートなど、選任後もしっかりサポートしてもらうことができれば、自社の産業保健業務の負担軽減や質の高い産業保健活動の推進につながるでしょう。
4.産業医を選任したいときは、相談先となる機関やサービスを見つけよう
産業医は、地域の医師会や健診機関、産業医紹介会社などに所属や登録をしています。相談先ごとの特徴やメリット・デメリットを理解し、自社に適した産業医を選任しましょう。
自社に適する産業医を選任し、産業医にアドバイスをいただきながら自社の産業保健体制の構築や健康施策・健康経営を推進をしていくことで、生産性向上や企業のイメージアップにもつながっていくでしょう。
自社の状況や労働環境に適した産業医を選ぶためには、産業医を選任するサービスを利用するのも1つの方法です。弊社では、産業医の選任を支援する産業医選任サポートサービスを提供しています。産業医の選任だけでなく、コーディネーターによる産業保健活動サポートも充実しています。法改正や厚生労働省、労働基準監督署の方針などを背景に、あらゆる業種業態に合わせてサポート可能です。産業保健活動を充実させ、従業員の健康を守りたい方は、ぜひお問い合わせください。