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産業医は衛生委員会に出席の義務あり?目的や設置基準・役割を解説 


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一定の基準に該当する事業場では、衛生委員会を設置しなければなりません。衛生委員会とはどういったものか、産業医の役割や出席の義務など、詳しく知りたい人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、衛生委員会の概要や産業医の役割、出席義務と参加してもらうためのポイントを解説します。

目次

  1. 衛生委員会とは
  2. 衛生委員会における産業医の役割
  3. 衛生委員会の立ち上げ方
  4. 産業医の衛生委員会への出席は義務ではない?
  5. 産業医が衛生委員会に参加しやすいポイント
  6. 衛生委員会に関するよくあるQ&A
  7. まとめ:産業医が参加する衛生委員会を充実させて従業員の健康を守ろう
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1.衛生委員会とは

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衛生委員会とは、事業者側と従業員側が一体となり、労災防止や従業員の健康保持増進に関する取り組みについて調査審議し、従業員側が事業者に対して意見を述べるための委員会です。

職場における労働者の安全と健康を守り、快適な労働環境を整えるために事業者と従業員の双方が歩み寄り、建設的な協議を行います。

委員会の開催頻度は毎月1回とされ、議事概要を遅滞なく労働者に周知しなければなりません。

衛生委員会の設置基準

業種を問わず、常時使用する労働者が50人以上の事業場では、衛生委員会の設置が義務づけられています。(労働安全衛生法第18条)

労働者数50人未満の事業場では、原則、衛生委員会を設置する必要はありません。しかし、労働者の安全または衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設ける必要があります(労働安全衛生規則第23条2項)。

事業場に衛生委員会を設置しなければならないか不明な場合、労働基準監督署へ問い合わせてみましょう。

衛生委員会の構成員

衛生委員会の構成員は以下の通りで、それぞれ事業者が指名します。 

  1. 総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者、もしくはこれに準ずるもの
  2. 衛生管理者
  3. 産業医 
  4. 事業場の労働者で衛生に関し経験を有するもの

1のメンバーは1名のみで、衛生委員会の議長となります。

1以外のメンバーは特に人数の定めはありません。それぞれ、労働組合または労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名します。

衛生委員会の調査審議事項

衛生委員会では、以下の事項について調査審議することが定められています。

  1. 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策
  2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策
  3. 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るもの
  4. 衛生に関する規程の作成
  5. 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るもの
  6. 安全衛生に関する計画(衛生に係る部分)の作成、実施、評価及び改善
  7. 衛生教育の実施計画の作成
  8. 化学物質の有害性の調査並びにその結果に対する対策
  9. 作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策や
  10. 定期健康診断等の結果並びにその結果に対する対策
  11. 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成
  12. 長時間労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策
  13. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策
  14. 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること

具体的には、作業環境の改善や労災の原因調査・再発防止、健康診断結果の評価、過重労働対策など、安全衛生対策に関する内容を調査審議します。

2.衛生委員会における産業医の役割

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衛生委員会における産業医の役割は、専門家の立場から助言することです。

衛生委員会において、産業医は医学に関する知識を持っている専門家として、職場環境や労災防止についてアドバイスを行います。

産業医は、事業場における安全性の問題点や労働環境における懸念事項を、客観的に評価できる存在です。専門家である産業医の意見やアドバイスにより、問題点を早い段階で解決すれば、大きなトラブルに発展するリスクを削減できるでしょう。

ただし、産業医は意見を述べるに留まり、そこに法的な効力は発生しません。そのため、事業者は必ずしも指示に従わなくてよいものの、意見を踏まえた判断が求められます。

3.衛生委員会の立ち上げ方

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衛生委員会の立ち上げは、主に以下の4ステップで進めます。

  1. 衛生委員会の意義を理解する
  2. 規定やルールを定める
  3. 年間計画を立てる
  4. 衛生委員会の審議内容を決める

前号の「衛生委員会の構成員」で解説したように構成員を選出後、衛生委員会の目的や設置の必要性を理解します。また委員会の人数は、事業場の規模にもよります。メンバーの任期、欠員が出た場合の要件、議事録の保管などについて規定やルールも明確にしておきましょう。

衛生委員会の開催頻度は毎月1回以上と定められているため、自社の状況に応じ、年間計画を立てます。その際、構成メンバーが無理なく参加できる日時を設定することが大切です。

年間計画を立てると同時に、衛生委員会で審議する内容を決めておきます。従業員の健康保持や増進に関すること、労働災害などへの対策などが挙げられます。

4.産業医の衛生委員会への出席は義務ではない?

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産業医は衛生委員会の構成員の一人ですが、産業医が出席できないからといって、衛生委員会が成立しないわけではありません。あくまでも出席は任意とされており、罰則も定められていません。

産業医が衛生委員会に出席しなければ、専門家の立場としての意見やアドバイスがもらいづらくなります。やむをえない事情がない場合、従業員の健康や労働衛生に関して審議する場には、産業医に出席してもらうことが望ましいでしょう。

産業医の欠席が常態化すると、産業医の名前を登録しているだけの「名義貸し」の状態となります。

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5.産業医が衛生委員会に参加しやすいポイント

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産業医に衛生委員会へ出席してもらうためのポイントとして、以下の5つが挙げられます。

  1. 契約書に職務や訪問頻度などを明記する
  2. 年間を通して開催日の計画を立てる
  3. 職場巡視の日に開催する
  4. オンラインで開催する
  5. 開催時間のうち対応可能な時間帯のみ参加とする

それぞれ解説します。

契約書に職務や訪問頻度などを明記する

産業医が衛生委員会に参加しやすくするためには、契約書に職務や訪問頻度などを明記するのも1つの方法です。

具体的に明記することで、産業医の役割や衛生委員会への関与の程度が明確になります。産業医は、自分の業務と衛生委員会の活動を調整しやすくなるでしょう。

年間を通して開催日の計画を立てる

産業医を含めたメンバー全員が参加できるよう、年間を通して衛生委員会の開催日の計画を立てましょう。

以下は、年間を通した衛生委員会の開催日の計画例です。

4月ストレスチェック・メンタルヘルス対策
5月テレワークと健康管理
6月ハラスメント対策
7月夏季に注意すべき病気と健康管理
8月健康診断の受診とアフターケア
9月長時間労働・労働災害などの対策
10月冬季に注意すべき感染症と健康管理
11月ストレスチェックの活用
12月禁煙の推進・アルコールとの付き合い方
1月肩こり・腰痛対策
2月花粉症対策
3月年間のまとめ・次年度のスケジュールについて

産業医が出席できなかったとしても、罰則があるわけではなく、衛生委員会は成立します。しかし、可能な限り、産業医が参加しやすい環境を整えることが大切です。

職場巡視の日に開催する

産業医に衛生委員会へ出席してもらうために、月1回以上、一定の条件を満たす場合は2ヶ月に1回以上の職場巡視の日に合わせるのも有効です。

嘱託産業医は、職場巡視日以外は病院やクリニックなどで常勤医として働いていることが多いです。そのため、衛生委員会の日付を巡視日と同日に設定することで、産業医が参加しやすくなるでしょう。

産業医の職場巡視日や滞在可能時間を確認し、衛生委員会に参加しやすい日程を調整しましょう。

オンラインで開催する

やむをえず産業医の訪問時間が限定されている場合、衛生委員会をオンラインで開催しましょう。

事業場のメンバーの日程は合わせられるものの、産業医のみ日程が合わないケースもあるでしょう。その場合、産業医のみオンラインで参加してもらうのも1つの方法です。

ただし、オンラインでの衛生委員会の開催は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 衛生委員会のメンバーが容易に利用できる
  • ネットワーク回線が安定している
  • 構成員同士の意見交換が円滑にできる
  • 個人情報の漏洩や外部からの不正アクセス防止など、セキュリティ対策をとっている

産業医を選任する段階で、オンラインでの衛生委員会参加に関する取り決めをしておくとよいでしょう。

開催時間のうち対応可能な時間帯のみ参加とする

例えば、60分で設定された衛生委員会に、冒頭の15分だけ産業医が参加することが挙げられます。

産業医は、複数の企業や医療機関で勤務していることが多く、診療業務や他の委員会への参加、職場巡視、健康診断の実施など、多岐にわたる業務を抱えています。

そのため、全ての衛生委員会にフルタイムで参加することは難しい場合が多いです。

6.衛生委員会に関するよくあるQ&A

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衛生委員会に関するよくあるQ&Aを、以下2つお伝えします。

  1. Q1. どうしても産業医が衛生委員会に参加できない場合は?
  2. Q2. 衛生委員会への立ち上げに迷ったときは?

それぞれ見ていきましょう。

Q1. どうしても産業医が衛生委員会に参加できない場合は?

衛生委員会を開催したい日に、どうしても産業医が参加できないケースもあるでしょう。その場合、議事録を産業医に提出し、意見やアドバイスを求めましょう。

議事録に記載されている問題点を確認してもらい、産業医から意見やアドバイスがあれば、衛生委員会の構成メンバーとも共有し、業務改善を図ります。

Q2. 衛生委員会の立ち上げに迷ったときは?

衛生委員会を立ち上げるには、参加メンバーの選定、規定・ルールの策定、年間計画の作成などが必要です。初めて産業医を選任したり、衛生委員会を立ち上げたりする場合、どのように進めれば良いか、何から手をつけたら良いのかいいのか迷う人もいるでしょう。

その場合、厚生労働省のホームページを参照したり、最寄りの都道府県労働局・労働基準監督署などへ問い合わせてみるとよいでしょう。

また、衛生委員会の立ち上げに迷ったときは、厚労省等の衛生委員会立ち上げのマニュアルを参照してみたり、産業医紹介サービスを活用するのも方法です。

例えば、弊社の産業医選任サポートサービスでは、産業医の紹介だけでなく、衛生委員会の立ち上げに対応しています。あらゆる業種業態に合わせてコーディネーターがサポートするので、衛生委員会の立ち上げを検討している方は、気軽にお問合わせください。

7.まとめ:産業医が参加する衛生委員会を充実させて従業員の健康を守ろう

事業場における労働者の安全と健康を守るためには、産業医を含む衛生委員会による建設的な協議が必要とされます。

衛生委員会でいつも同じ人が発言したり、テーマ選びの担当者が決まっていたりすると、マンネリ化の原因になります。マンネリ化を解消するためには、外部の研修を受けてもらう、メンバーに役割を与える、外部の専門職メンバーを入れるといった対策が有効です。

衛生委員会への産業医の出席は義務ではありませんが、専門家として意見をもらうことで、労働環境の改善につながるでしょう。

弊社では、産業医の選任を支援する産業医選任サポートサービスを提供しています。産業医の選任だけでなく、他社でのストレスチェックの実施や改善方法などの知識を持つコーディネーターによるサポートも充実しています。

ストレスチェックの実施はもちろん、法改正や厚生労働省、労働基準監督署の方針などを背景に、あらゆる業種業態に合わせてサポート可能です。

また、スポットでの産業医面談にも対応しています。産業保健活動を充実させ、従業員の健康を守りたい方は、ぜひお問合せください。

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