女性の健康リテラシー向上のポイント -研修開催時-
「女性の健康リテラシー向上のポイント」では、女性の健康リテラシーについて 1.なぜ重要なのか 2.何から学ぶと良いか 3.向上させる方法 についてお伝えしました。
ここでは、女性の健康リテラシー研修を開催する場合に押さえておきたいポイントをお伝えします。
自社で女性の健康リテラシーの研修を実施する場合には、研修目的や効果指標を明らかにするなどの基本事項の他に、次のポイントを押さえておくと良いでしょう。
1.受講者の年齢層の偏りを考慮する
年齢によって健康への関心や知識には差があります。たとえば、20代の女性は健康に対する関心が薄く知識も乏しいのが一般的です。ですから、生理時の対象法などワークとライフの両方に役立つ話をすると関心が高まります。
一方、年齢が上がるにつれて基礎的な知識を持った人が増えてきます。ですが、一例として更年期のような50歳前後の健康課題については知識が足りていないので啓もうが必要です。
年齢層を分けて研修ができればそれに越したことはありませんが、分けることが困難な場合には、年齢層の偏りに配慮して研修内容を調整することで、受講者の満足度が向上します。
2.男性も受講する
女性特有の健康課題については、男性も学ぶことが推奨されます。なぜなら、男性が女性の健康について理解することで、職場の相互理解、心理的安全性、従業員エンゲージメントが向上するからです。
男性に女性特有の健康に関する研修を行う場合は、できれば女性とは別に実施した方が良いでしょう。なぜでしょうか?
男性は、女性特有の健康に関する知識が不足していますし、例えば生理時の辛さのような体験をしたこともありませんから、自分事化がしにくいのです。そこで、女性のリアルな体験談などを紹介するような工夫があれば理解しやすくなります。それに加えて、女性の健康に対する配慮の仕方や、適切なコミュニケーションの取り方についても学べると良いでしょう。
同様に、女性向けには女性だけで研修を実施できた方が良いでしょう。女性だけであれば、お互いの体験談を話し合うことが可能になります。生理や更年期の辛さには個人差がありますから、自分の経験を他の人に話してみてみることで「私と違う」とか「私と同じだ」と気づきと安心感が醸成されます。それが男性もいる場だと、女性は自分の体験を話すことができません。
とは言っても、研修を男女一緒に受講させてはいけない、ということは勿論ありません。男女が一緒に受講することで、女性社員から男性にも聴いてもらえて良かったとポジティブな感想を受け取る場合もあります。ただし、グループワークを行う場合は、女性と男性を別々のグループに分けてください。女性が男性の前で個人的な健康課題を話すことに抵抗を感じる可能性があるためです。また、グループ発表においても、女性が男性の前で発表することを苦痛に感じる場合がありますので、事前に講師に相談してください。
3.詳細過ぎないようにする
健康知識の研修は、しばしば医師などの医療従事者に依頼されます。専門性と信頼性という意味でもっとも確かで間違いありません。ただ、詳細になり過ぎると、知識の浅い一般の受講者にとっては情報過多に感じられる場合があります。講師には受講者の理解度を考えて、要点を絞って分かりやすく伝える方法を相談してみましょう。
4.法制度や自社の規定・制度を伝える
管理職を含む多くの社員が、生理休暇などの法制度と自社制度を正確に理解していないことがあります。また、制度を利用しにくい組織風土が妨げになる場合もあります。
研修の機会を活用して、改めて管理職をはじめとする社員に自社が設けている規定や制度を説明すると良いでしょう。さらに、制度利用の相談先や何を相談できるかなどの情報を提供することで、制度を利用したい社員のサポートになります。
規定や制度の説明は人事担当者などが行うことが望まれます。研修内で説明することが難しい場合には文書などで情報提供する方法もあります。
5.おわりに
女性の健康リテラシーの研修を実施すると、男女を問わず多くの方から『もっと早く知っていれば良かった』や『管理職と社員全員に知ってもらいたい』という感想をいただきます。
職場で女性の健康リテラシーを向上させることは、個人の生産性を高めるだけでなく、組織の『心理的安全性』も高まります。心理的安全性が高まることで、コミュニケーション、チームワーク、創造性、問題解決能力などが改善する他、ストレス軽減にもつながります。
女性の健康リテラシー研修をすぐに実施することが難しい場合には、イントラネットを通じて情報提供するとか、パンフレットやポスターなどの資料を配布することも効果的です。社員の健康に対する意識やニーズを把握するためにアンケートを実施しても良いでしょう。これにより、具体的な研修内容や必要な情報を把握できます。できるところから始めてみてください。
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国内外で多くの女性同僚や部下のキャリア形成に携わり、女性特有の健康、ライフイベント、キャリアに深い関心を寄せる。
また、二人の娘の親としても、女性の健康とライフキャリアに向き合っている。