早期発見・早期対応でメンタルヘルス不調者を減らす!-ラインケア教育のコツ-
突然、ノーマークだった社員から自宅療養の診断書が出るという事態に覚えはありませんか?会社として避けたい事態ですね。
これを少しでも予防するために、早期発見・早期対応をテーマとして管理職にラインケア教育を行うことで、一定の効果を期待できます。
目次
1.何を教育するか?
早期発見・早期対応を実現するためのラインケア教育において、その内容は①気づく、②理解する、③つなぐというステップに沿うのがわかりやすいです。
① 気づく
早期発見にあたり、うつ病等の症状についてそこまで詳しく知る必要はありません。勤怠の乱れはもちろん、部下の業務遂行能力が普段通り発揮できているかどうかを把握していれば自然と普段との違いに気づくことが可能です。加えて、挨拶をしたときに感じる小さな違和感なども気づくきっかけとして十分機能します。
②理解する
部下の様子がいつもと違うと感じたら、少し踏み込んで管理職から話を聞いてもらいます。パフォーマンスの低下があればその背景に健康問題があるかどうかの当たりをつけるのが管理職の役割です。健康状態をストレートに訊くことをためらう管理職も珍しくありませんが、それでは安全配慮義務を果たせません。管理職には、パフォーマンス低下時の体調確認は安全配慮の義務を履行するために必要な業務であると認識してもらう必要があります。
③つなぐ
実際にパフォーマンス低下等の様子の変化の背景に健康問題(例:ストレスで眠れないことで疲労が回復せずミスが増えた)があると管理職が捉えた場合、メンタルクリニックや産業医等に相談することを本人に提案し行動を促すことで、重症化する前に専門家による判断やケアを受けられるようにします。
2.教育を行動に結びつけるために
上記の教育内容を実際の行動に移してもらうことは容易ではありません。専門家による丁寧な教育は有効ですが、管理職がすんなりと対応できるようになるかというとそれは難しいです。
この問題は多様で個別性が高いためです。そこで、実効性を持たせるための唯一にして絶対のコツは、メンタルヘルスの不調っぽい部下がいたら、管理職は人事総務との連携を密にするようにしつこく伝えることです。
一人で抱えさせない。対応したら共有、迷っても共有。そのうえで産業医や主治医も巻き込んでチームで対応するのが理想です。
少なくとも、「管理職が一人で抱えて、気づいたら診断書が出てきて休養」などといったことにならないよう、その点を強調して私は常に管理職に教育するようにしています。
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大学院で臨床心理学を研究するかたわら、日本の労働者のメンタルヘルス問題において日本をリードする故・島悟氏に師事。大学院修了後は島氏が理事長を務める神田東クリニックにて多数の企業のメンタルヘルス担当者へのコンサルティング、社内研修、労働者のカウンセリングの実践経験を積む。
国内有数の大手企業から中小企業まで対象とし、メンタルヘルスやコミュニケーションにまつわるあらゆる課題解決を支援する。