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産業医面談とは?面談の内容や実施する際のポイントを解説


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産業医面談とは、産業医による従業員との面談のことです。従業員が心身ともに健康的に働くことをサポートするために行われます。とはいえ、産業医面談はどういう目的で行うのか、何を話すのか分からない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、産業医面談の目的、面談の種類や内容、企業側が配慮すべきポイントについて解説します。

目次

  1. 産業医面談とは
  2. 産業医面談の種類・場合・面談で話す内容
  3. 産業医面談において企業が配慮すべき4つのポイント
  4. 産業医がいない場合の対策
  5. まとめ:産業医面談を実施して従業員の健康を守ろう
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1.産業医面談とは

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産業医面談とは、従業員の心身の健康をサポートするために行われる面談のことです。医学的知見を持ち、働く環境や業務内容を勘案できる専門家の立場から総合的に従業員の健康をサポートするために判断をする目的を持ちます。

主な産業医面談の目的は以下です。

  • 現在の状況では健康状態の悪化の可能性が予測されるため、働く条件で何らかの配慮が必要かどうか(作業内容、作業環境、人間関係等)「就業配慮」
  • 健康障害の悪化のリスクがあるため、当該従業員の労働を制限する必要があるかどうか「就業制限」
  • 働く上での配慮や制限は不要でも、今後さらなる悪化がないよう、治療開始や生活習慣等の改善指導が必要かどうか「保健指導」

面談にて、現状の働き方や条件では、健康状態の悪化の可能性があると判断された場合、産業医の立場から事業主へ、働く作業内容や作業環境の改善や配慮、従業員の労働条件の制限等を「産業医の意見書」として提出します。意見書は、事業主が当該従業員が健康を害さないよう働く上での対応(就業上の措置)を適切に講じることができるよう書面にて産業医が提出するものです。

なお、産業医には「報告義務」と「守秘義務」があります。産業医は、面談にて従業員に健康上の問題があると知った時には、事業主へ指摘・報告しなければなりません。これは、事業主による従業員が安全・健康に働けるよう労働環境を整備する「安全配慮義務」を果たすためのものです。

一方で、「守秘義務」(業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない)も有しています。こちらは労働安全衛生法第105条によって規定されており、違反した場合、刑法に罰則規定もある重い義務です。

「報告義務」と「守秘義務」においては、基本的には「守秘義務」が優先です。基本的に産業医面談で従業員から見聞きした内容については、必ず本人の同意を取ることが前提となり、開示してOKと同意を取得している内容や範囲に限り、事業主や関係者へ伝えられます。面談で話したことすべてが自分の知らないところで事業主へ伝わることは基本ありません。ただし、報告しないと本人もしくは周囲の人間の生命の危険がある場合などの緊急の場合は、その限りではありません。

産業医面談は義務?

産業医面談は、義務付けられていません。ただし、事業主は産業医面談を実施する義務を持ちます。一方で、事業主から産業医面談を提案された従業員は必ずしも面談を受ける義務はなく、断ることが可能です。そのため、産業医面談は強制できません。

従業員が産業医面談を嫌がらずに受けてもらうために、会社が考える産業医面談の目的や従業員にとっての効果を説明し、理解を促すなど、産業医面談を受けてもらいやすくする対策が必要です。

産業医面談はいつ・どのくらいの時間で行う?

産業医面談は、従業員からの申し出があった際に実施されます。また、高ストレス者や基準以上の時間外労働をした従業員など、様々なケースで実施されます。

1回の面談は、明確に定められていません。とはいえ、少なくとも30分程度の時間を確保し、従業員に適切なアドバイスができるようにすべきです。また、面談時間は、従業員の勤務体制・勤務内容、健康状態などを考慮し、柔軟に変更すると良いでしょう。無理に1回の面談で完結する必要はなく、時間をおいて、2回目の面談を実施することも必要です。

2.産業医面談の種類・場合・面談で話す内容

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産業医面談は主に次のような流れで行われます。

  1. 面談対象者を決める
  2. 面談の日時と場所を決める
  3. 対象者への通知を行う
  4. 産業医へ事前に情報を共有する
  5. 産業医面談を実施する
  6. 面談の記録と意見書を保管する
  7. 事業者として就業上の配慮や職場環境の改善を行う

面談が必要とされた従業員に対して、日時や場所を決めたうえで実施されます。

以下、5つの面談種類ごとの実施基準や面談内容を解説します。

  • 従業員の申し出による面談
  • 休復職に関する面談
  • 高ストレスの従業員に対する面談
  • 長時間労働の従業員に対する面談
  • 健康診断後の面談

従業員の申し出による面談

従業員が面談を希望した際には、おおむね1ヶ月以内に産業医による面談を実施することが求められます。職場での人間関係や業務内容など、様々な内容を相談可能です。

休復職に関する面談

また、休職・復職を経た従業員の面談も行います。

休職願いや休職指示を検討している従業員と面談します。主治医の診断書に基づき、その時点での従業員の健康や働く能力の評価、休職する不調に至った要因等をヒアリングし、休業に関する意見書を提出します。

復職判定の面談では、主治医の「復帰可」診断書に基づき、本人の復帰意思の確認、復帰が可能な回復状態であるか、規則的な生活ができているか、安全に出社できる環境が整っているか、など復帰に関する障壁がないかを確認します。

面談後、本人の復帰意欲や意思、復帰後の就業能力の評価をもって「最終的な復職判定、就業上の措置」を明記した意見書を提出します。

高ストレスの従業員に対する面談

ストレスチェックの結果、高ストレスと判定され、本人の面談申し出があった従業員には産業医面談の実施が義務付けられています。ストレスチェックとは、労働者のストレス状態を把握するための検査のことです。面談では、心身の状態や勤務の状況、人間関係などを確認し、従業員のメンタル不調のリスクを評価し、本人にセルフケア指導等を行います。もし、継続して働くとさらなるメンタル不調の悪化が予見された場合には、就業上の意見を事業主へ提出し、適切な措置が講じられるよう助言します。

長時間労働の従業員に対する面談

時間外・休日労働時間が1か月80h以上を超えた場合かつ疲労蓄積があり面接を申し出た従業員に対して、事業主は産業医面談を実施せねばなりません。一方で、安全配慮義務の観点から、法令上、本人の申し出後という条件で面談が義務付けられている1か月80h以上の時間外労働者に対しては、本人の申し出がなくとも、事業主として産業医面談の環境を提供し、従業員の健康と安全を守っておられる企業は多く存在します。

長時間労働の従業員に対する面談は、従業員の脳・心臓疾患やメンタル不調を早期に把握し予防策を講じるため、適切な指導を行うことが目的です。面談によって、従業員の健康が損なわれると予見・判断された場合、事業主へ就業上の配慮に関する意見書を提出します。

健康診断後の面談

健康診断の結果にて、脳血管・循環器疾患のリスクやその他健康悪化につながる所見があった従業員には、産業医面談を実施することが望ましいでしょう。従業員の健康状態や働く環境や業務内容を把握し、従業員の心身の健康状態について、どの数値が基準を超えているか、どのような状態にあるのか説明したうえで、どんな改善策があるか伝えます。

健康状態が悪化しており、かつこのままの状態で働けばさらなる悪化が予見される場合、労働災害を防止する目的で従業員に労働制限を設ける、休業を求めるなどの措置を講じる場合があります。

産業医選任サポートのご案内はこちらをご覧ください。産業医選任サポートのご案内はこちらをご覧ください。

3.産業医面談において企業が配慮すべき4つのポイント

企業が産業医面談を実施する際のポイントは、以下4つです。

  • 産業医面談の目的や役割を共有する
  • 面談を受ける従業員に配慮する
  • 従業員の業務内容や職場環境を見直す
  • 面談後のフォローアップを行う

ひとつずつ解説します。

産業医面談の目的や役割を共有する

産業医面談を実施する際、まずは面談の目的や役割に関して、従業員への説明が必要です。従業員に産業医面談の重要性が理解されなければ、拒否されてしまう可能性があるでしょう。健康管理などのアドバイスができないことによって従業員の健康状態が悪化し、労働災害や休職につながるリスクが生じます。

 面談を拒否された場合には、会社として期待する面談の目的や本人にとっての効果について改めて説明し、従業員が納得した上で受けてもらうことが重要です。 

面談を受ける従業員に配慮する

産業医面談を実施するにあたり、従業員への配慮が大切です。面談は、事業主と従業員が相互に納得したうえで実施すべきでしょう。そのため、面談の実施日時などは一方的に決定せず、従業員と相談する必要があります。

また、個人情報保護の観点から、健康診断結果などの情報は第三者に見られないよう、封筒に入れて渡したり、郵送したり配慮すべきです。従業員が安心して話せるようプライバシーが確保できる場所での設定や、オンラインによるリモートで産業医面談を行うのも1つの方法です。

従業員の業務内容や職場環境を見直す

産業医面談後、労働環境の改善を求められた場合、事業主は対策を講じることが必要でしょう。産業医からの意見を受けた内容や従業員の意見をふまえ、これまでの業務内容や職場環境を見直しましょう。

業務過多の場合には、業務を他の従業員に分散させて負担を減らすなどの対策を取ることが望ましいです。

面談後のフォローアップを行う

産業医面談後は、従業員に対し継続的な支援を行うことが重要です。例えば、メンタルヘルス不調の従業員に対し、保健師等や上司からの事後フォローで丁寧にサポートを行います。また、必要時人事や上司・保健師等で経過の共有等を行い、周囲の関係者で協力・連携しながらサポートするとより強固な支援が可能となります。事業主側も知識向上のため、メンタルヘルスに関する研修を受講するとよいでしょう。

また、面接後、専門の医療機関を受診開始した従業員に関して、職場での状況や職場環境を主治医に情報提供し、連携して従業員のフォローアップを行うことが大切です。ただし、主治医への情報提供については、本人の同意を得る必要があります。

4. 産業医がいない場合の対策

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50人以上の従業員が常駐する事業場は、産業医を選任する義務があります。50人以下の事業場への産業医の選任は努力義務ですが、従業員の健康状態を管理・サポートするために、選任することが望ましいでしょう。

産業医がいない場合の対策として、以下5つが挙げられます。

  • 健康診断を実施している機関に相談する
  • 地域の医師会に相談する
  • 親会社に相談する
  • 人脈を活用して紹介してもらう
  • 民間企業のサービスを活用する

健康診断を実施している医療機関や地域の医師会には、一般の医師として診療をしている傍ら、産業医として活動している医師がいる場合があります。また、自社の親会社に産業医がいる場合、選任できないか相談すると良いでしょう。経営者の知り合いなど、人脈を活用するのも1つの方法です。

地域とのつながりや人脈を活かして産業医を見つける場合、近隣のネットワークが広がり、信頼関係を築きやすいといったメリットがあります。その反面、自社で一から探すため、手間や時間がかかったり、紹介してもらえる産業医の候補が限られたりする点はデメリットといえるでしょう。

上記の方法で産業医と直接契約を結ぶ以外に、産業医の紹介などを行う民間企業を利用するのもひとつの手です。産業医選任サポートサービスは、産業医の選任、産業保健活動の運営・事務業務のサポートなどを行うサービスです。

産業医選任サポートサービスを利用すれば、企業にマッチする医師の見立てから選任、労働基準監督署へ提出する書類の整備まで一括して行います。また、産業医の紹介後もコーディネーターが産業保健活動を手厚く支援します。興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。

5.まとめ:産業医面談を実施して従業員の健康を守ろう

産業医面談は、従業員が心身ともに健康的に働くことを支援するために行われます。面談によって、労働者の職場環境や就労状況に関し、事業主は適切な措置を取ることが求められるでしょう。

また、健康診断後やストレスチェック後の面談結果によっては、主治医と連携し、従業員の健康管理・休職管理・職場復帰までのサポートが求められます。従業員の健康を守るために、産業医面談を実施して、定期的な検査の結果を活かすことが重要です。

産業医選任サポートサービスは、産業医の選任、産業保健活動の運営・事務業務のサポートなどを行うサービスです。過重労働や休職・復職などの各種面談の体制構築、復職プログラムの作成、健康診断結果の管理、結果報告書の作成までサポートします。

従業員の安全と健康を保つ職場環境を整えるための産業保健活動を充実させたい方は、お気軽にお問い合わせください。

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