休養室と休憩室を混同していませんか?
産業医の先生と一緒にオフィス内を巡視させていただくと、先生から「休養室がないので設置してくださいね。」という指摘を受けることが多々あります。
スペース的に休憩室を設置できないというオフィスがあるのですが、事務所衛生基準規則にはこのような記載があります。
■事務所衛生基準規則
(休養室等)
第二十一条 事業者は、常時五十人以上又は常時女性三十人以上の労働者を使用するときは、労働者が、が床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。
「が床(臥床)」とは「横になる」という意味です。
過去に、あなたの会社でも、横にならなければ居られないほどの体調不調を起こしたことのある従業員がいるのではないでしょうか。
そのような従業員が横になって休養するためのスペース(ベッド、あるいは布団)を用意しておく必要があるということを、規則では示しています。
例えば、真夏のある日、外出先から戻ったら熱中症の症状が出て、立っていられなくなってしまった従業員はすぐに涼しい場所に寝かせてあげる必要があります。
勤務中に体調不良を訴える人は決して多くはないですが、規則通り設置しておらずに急病人への対応が遅れた場合は、会社の安全配慮義務違反が問われる場合があります。
また、「休養室」とよく間違えやすいのが「休憩室」です。
(休憩の設備)
第十九条 事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならない。
「休憩設備・休憩室」の設置は義務ではなく努力義務ですので、オフィス内でのスペースの制限があるならば、まずは義務である「休養室」を設置するようにしましょう。
今すぐに休養室を作ることが難しいという会社においては、まずは、会議室等に折り畳み式の簡易ベッドを置いたりして、緊急時に備えるという方法もあります。
また、同様に、今すぐに男女別の休養室を設けることが難しい場合は、ひとまず、パーテーションでスペースを仕切って使用するのも良いでしょう。
■休養室・・・従業員が横になって休めるスペースを設置しなければならない。
■休憩室・・・従業員が仕事の合間や休憩時間にリラックスできるスペースを設置できるよう努める。
その他にも、会社が規則をきちんと守っているかどうか、いま一度、事務所衛生基準規則と照らし合わせみてくださいね。
参照:厚生労働省 事務所衛生基準規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47F04101000043.html